元結とは日本髪の髻(もとどり)を束ねるのに使う紐のことです。古くは麻紐や藁などが使われていましたが、江戸初期・寛文年間(1661~73)頃から、長く撚った紙縒りに糊をつけて、布でしごいて作られた扱き元結が登場し、広く使われるようになりました。
元結は髪を結うための道具であると同時に、儀礼や装束の中で静かに役割を果たす存在でもあります。一本の元結には、技術だけでなく、地域の風土や文化が息づいています。元結堂南田では、そうした背景を大切にしながら、用途に応じた元結を丁寧に製作しています。
分類すると次のようになります。
- 紙撚り元結(かみよりもとゆい):細く切った和紙を紙縒り(こより)にして髪を結んだ。実用性が求められる。
- 扱き元結(しごきもとゆい):細く切った紙を長く撚って水に浸し、更に撚りをかけて扱いた元結。現在、「元結」と言えばこの扱き元結のことを指す。
- 白元結:結髪に適した細く強い元結
- 色元結:鮮やかな色を付けた元結
- 奴元結:白く太い元結の一種
- 15匁~50匁:用途によって太さが選ばれる。
- 20匁:20匁は大相撲の横綱の綱打ちや歌舞伎の鬘の髷結いなど。別名「横綱元結」。
- 100匁(100番):儀式用の装束に合わせて重厚感を持たせた極太仕様の元結です。主に神職の烏帽子や冠の掛緒(かけお)に用いられるほか、祭事などの儀礼や、祇園祭の行列衣装などにも使用されます。※1
- 15匁~50匁:用途によって太さが選ばれる。
- 扱き元結(しごきもとゆい):細く切った紙を長く撚って水に浸し、更に撚りをかけて扱いた元結。現在、「元結」と言えばこの扱き元結のことを指す。
- 平元結(ひらもとゆい):和紙を一寸ほどの幅に切ったもの。装飾性が求められる。
- 丈長(たけなが):装飾品として使用する平元結
※1 2025年9月に執り行われた秋篠宮家・悠仁さまの成年式において、「100匁の奴元結」が使用されている様子が映像にて確認されています。
皇室の儀式に、飯田の歴史と技が静かに寄り添う場面として、私たちに深い感慨をもたらしました。
この儀式と元結堂南田の考察については、詳細な記事でご紹介しております。
元結堂南田では手扱きで次の2種類の元結を作っています。
- 白元結
- 並尺:長さ一尺八寸(鯨尺で約68cm)の細めの元結(10匁)
- 長尺:長さ二尺(鯨尺で約74cm)の細めの元結(10匁)
- 太口:主に大相撲で使われる太めの元結(12匁)
- 奴元結
- 20匁:長さ一尺八寸(鯨尺で約68cm)と手繰り
- 100匁:長さ10間の手繰り
手扱きで元結を作る職人は2025年現在、国内に2名のみとなってしまいました。
また、100匁の奴元結を手扱きで生産しているのは、現在、元結堂南田のみとなっております。
※いずれも株式会社松文さんにて販売しています。お問い合わせはこちらまで。