【奴元結(100匁)】悠仁親王殿下「加冠の儀」にみる、元結の役割

令和という時代に、古来より伝わる伝統が受け継がれていく姿を拝見することは、私たちにとって大きな喜びです。宮内庁が公開している「加冠の儀」の映像には、厳かな儀式の中で元結が果たしている重要な役割が映し出されています。

元結は、髪を結ぶ素材であると同時に、儀式の象徴を支える静かな力として存在しています。その姿は、素材が歴史と文化を結び、未来へと続く「空」の中で光を放つ瞬間でもあります。

▶︎ 宮内庁公式映像「加冠の儀
  伝統儀式の中で、元結が果たす役割を静かに記録した貴重な映像です。

皇室の儀式に息づく、元結の役割

悠仁親王殿下の「加冠の儀」の映像を拝見し、私たち元結堂南田は、元結が日本の最も尊い伝統の中で果たしている役割を改めて深く感じ入りました。

特に、動画の9分30秒頃から、厳かな雰囲気の中で、冠を髪に固定するための掛緒(かけお)として、丁寧に結び付けられる元結の姿が確認できます。この貴重な一瞬に、元結が日本の歴史と文化を確かに繋ぐ道具として存在していることを強く感じました。

私たちが日頃、心を込めて一本一本手掛けている元結が、このような由緒正しき皇室の儀式で用いられていることに、とても深い驚きを覚えました。それは、元結という素材が持つ本質的な美しさや機能性、そして確かな結びの力が、格式や用途を選ばず、普遍的な価値を持っていることの証であると強く感じています。

私たちの工房で、一つ一つ丁寧に作られた元結が、日々の生活の中で使われることはもちろん、日本の最高峰の伝統儀式においても信頼され、その役割を全うしている事実。これは、私たちが「同空一如」の精神で、素材と真摯に向き合い、一切の妥協なく「結び」の力を追求してきた証であると、改めて身が引き締まる思いです。

自然の恵みから生まれた和紙が、職人の手によって元結となり、それが日本の歴史と文化、そして未来へと続く儀式の「空」の中で光を放つ。この一連の流れこそ、万物が分かちがたく繋がっている「同空一如」の精神が具現化された瞬間であると信じています。