元結堂南田の精神|同空一如と異空同空

はじめに

元結堂南田は、元結と和紙を通じて「誇りのかたち」を結ぶ工房です。
私たちがつくっているのは、ただの道具だけではありません。
それは、誰かの在り方を支える静かなかたちであり、
誰かの空に残る、目に見えない誇りの記憶です。

この工房の営みの奥には、ふたつの言葉があります。
一つは「同空一如」――空の一部として在ること。
一つは「異空同空」――違いの中で共に在ること。

これらは、私たちが日々の仕事の中で育ててきた精神であり、
元結堂南田のすべての元結、すべての出会いの奥に、静かに息づいています。

このページでは、私たちが大切にしている「精神」について、
その言葉の意味と、営みとのつながりをご紹介します。

同空一如とは

同空一如とは、空の一部として在ること。

元結堂南田の営みの根には、この静かな精神があります。
空を澄ませて始まり、
光で場を照らし、
リズムで歩みを整える。

元結は、誇りを支える素材です。
髷の根元に、冠の掛緒に、装束の結びに、舞台の裏に、祭礼の中に。
目立つことなく、語られることも少なく、
それでも確かに、文化の奥に息づいています。

私たちは、その素材に空気を宿し、
語らずとも残る仕事を選び続けています。
同空一如は、技術の先にある在り方であり、
元結堂南田が日々育てている姿勢です。

富士山のように、語らずとも在ること。
風を起こすのではなく、風の中に立つこと。

今日も、空の一部として在ることを選びます。

異空同空とは

異空同空とは、違いの中で共に在ること。

元結堂南田の営みは、静かに関係を結んでいます。
手にする人、言葉を交わす人、遠くから見守る人。
それぞれが異なる空を持ちながら、
同じ空の下で、静かに響き合っています。

この工房もまた、異空同空の実践です。
地域の空と世界の空、職人の空と訪問者の空、
それらが交差し、余白をつくることで、
違いのまま、共に在ることが可能になる。

異空同空は、関係のための精神です。
それぞれの空を尊重しながら、
同じ空に立ち会うことを選ぶ。

元結堂南田は、その精神を、素材に、言葉に、場づくりに込めています。

技術と哲学の交差点

元結堂南田の営みは、技術の継承であり、哲学の実践です。

紙を漉く手の温度、撚るときの呼吸、整えるときの余白。
それらはすべて、素材に宿る空気を感じながら、
誰かの誇りを支えるかたちへと整えていく所作です。

技術は、手順ではなく、空気を読む力。
哲学は、言葉ではなく、関係を結ぶ姿勢。

この工房では、技術と哲学が交差する瞬間が、日々育まれています。

それは、素材に触れるときのまなざしであり、
言葉を選ぶときの沈黙であり、
誰かと立ち会うときの余白でもあります。

元結堂南田は、技術の奥にある哲学を、
哲学の根にある技術を、
今日も、空の一部として育てています。

宣言文

私たちは、誰かのかたちに寄り添う素材を整えます。
自分の在り方は、語らずとも空に滲むように。

違いのまま、共に在ること。
誇りが空に溶け込むような仕事を選ぶこと。

元結堂南田は、技術の奥にある哲学を、
哲学の根にある技術を、
今日も、空の一部として育てています。

元結堂南田の哲学を、より構造的に理解したい方へ。
異空同空の構造をご覧ください。